概 要
いわゆる住宅街において、環境に配慮した姿勢を形態として表現する家。
地方の比較的広めの敷地を想定したタイプです。
軒の高さを抑えつつ、道路から引きをとって庭を確保しました。
限られた土地の中で、屋内と屋外のバランスを見直してみることも大切です。
敷地面積:148.47㎡(44.91坪)
床面積:78.67㎡(23.80坪)
+ロフト:17.39㎡(5.26坪)
プランニング
前庭や中庭、デッキなどによって、プライバシーを確保しつつ、外部とつながることを考えました。
建物の室内と室外をどうつないで生活や想像力を拡げていけるかが大切な要素です。
低い家
屋根の傾斜を活かしてロフト状の2階とすることで、軒の高さとコスト、外皮面積と室内空気の体積を抑えています。
道路から見た時に軒が低く低姿勢に見えることが、建物を屋外空間やまちなみになじませるとともに、環境に対する姿勢を表現します。
技術・アイテム
想定している自然と関わるための技術・アイテムの一部を紹介します。
目隠し壁 | 沖縄のヒンプンのように、視線を遮ってプライバシーを確保するとともに、アプローチの動線に変化を与えます。 |
片面アルミリフレクター | 可動式で「日射取得」「遮熱」「歩行」の3タイプの使い方ができます。冬は日射を取り入れ、夏は遮蔽します。 |
太陽光発電パネル | 生活スタイルに合わせて能力を決定。パーツを組み合わせて自主施工にチャレンジも可能です。 |
太陽熱温水器 | 太陽熱によって温水をつくります。 |
ソーラーウォール | 冬に運用。日射を熱に変換し温風を室内に取り入れます。 冬季でも40度以上の温風を発生することができます。 |
浄化水路と菜園 | 汚水を処理するための水路。有機物を含んだ水を自然の中で循環させ活用します。 |
ロフト | 雨樋からの雨水をためておき利屋根の傾斜を活かしてロフト状の2階とすることで、軒の高さとコスト、室内容積を抑えます。 |
高窓 | 北側の柔らかい光を取り入れ、風の通り道をつくます。 |
花ブロック | 適度に視線を遮ります。散水システムを組み込むことで蒸散による涼風を生み出すことも検討します。 |
雨水貯水タンク | 雨樋からの雨水をためておき利用できるようにしておきます。 |
基礎 | ベタ基礎と断熱によって、構造を強化し熱環境を向上させます。状況によっては他の基礎形式によって土を残すことも検討します。 |
シミュレーション
空調の設定温度を暖房24℃、冷房26℃としてエネルギー消費量を計算しています。エアコンは4kW(10畳用)程度の設置で十分で、エアコン能力や生活スタイルによりますが、太陽光発電によってほぼ賄えるかと思います。
prototypeAと比較して規模や大きく計算上の熱損失が大きい(A:118W/K B:164W/K)にもかかわらず、空調負荷が小さく、湿り空気線図が安定しているのは、シミュレーション上で基礎断熱による効果が大きいものと思われます。