インセクトの本棚
どんな本を読んでみたらいい?
僕らがこれまで読んできた本の中からインセクトに関連するものを一部紹介するよ。
ストーリーより
ストーリーの各話で参考文献としてあげている本を紹介します。
『資本主義の次に来る世界』
ジェイソン・ヒッケル (著), 野中 香方子 (翻訳)
東洋経済新報社 (2023/4/21)
資本主義の限界をアニミズム対二元論という視点から描く。
比較的読みやすい本です。
『スケール 上・下:生命、都市、経済をめぐる普遍的法則』
ジョフリー・ウェスト (著), 山形 浩生 (翻訳), 森本 正史 (翻訳)
早川書房 (2020/10/15)
世界にはスケーリング則と呼ぶような法則がある。
生命の形態や、都市や経済の限界などをスケールで考える視点が得られます。
『人新世の「資本論」』
斎藤 幸平 (著)
集英社 (2020/9/17)
売れた本なので読んだ方もいるかも知れません。
環境問題の裏にある資本主義・成長主義の限界描写と提言。「転嫁の思想」という言葉のもとになった本です。
『レアメタルの地政学:資源ナショナリズムのゆくえ』
ギヨーム・ピトロン (著), 児玉 しおり (翻訳)
原書房 (2020/2/29)
現代社会において資源、特にレアメタルにどのような問題があるか。
テンポの良い文章で分かりやすく描き出しています。
『資源の世界地図』
飛田 雅則 (著)
日本経済新聞出版 (2021/5/26)
上記と同様に資源について世界的な傾向をコンパクトにまとめたもの。
激動する資源問題の2021年の概要を掴めます。
『エクセルギーと環境の理論: 流れ・循環のデザインとは何か』
宿谷 昌則 (著)
井上書院; 改訂版 (2010/9/25)
建築環境をエクセルギーの理論からまとめた稀有な本。
充実の内容で得られるものも多いです。
『エントロピー (FOR BEGINNERSシリーズ 29) 』
藤田 祐幸 (著), 槌田 敦 (著), 村上 寛人 (イラスト)
現代書館 (1985/2/1)
少し古いですが、思想とユーモア、過去と未来が高密度で構成されている名著。
エントロピーの意味を知りたい方に最初におすすめしたい。
『エントロピーから読み解く生物学: めぐりめぐむ わきあがる生命』
佐藤 直樹 (著)
裳華房 (2012/5/20)
生き物とエントロピーの関係が生物学の視点から描かれている。
生命とは何か。生命と建築について考えるヒントがあります。
『「人間以後」の哲学 人新世を生きる』
篠原 雅武 (著)
講談社 (2020/8/11)
人新世と呼ばれるほどに人類の影響を押し上げてきた原動力はどのようなものであったか。「分断の思想」という言葉のもとになった本です。
『住まいから寒さ・暑さを取り除く―採暖から「暖房」、冷暴から「冷忘」へ』
荒谷 登 (著)
彰国社 (2013/8/1)
温熱環境の専門化による指南書。著者の思想も感じられ、思想と建築を結びつけるためのヒントに溢れた本です。
『環境建築私論 近代建築の先へ』
小泉雅生 (著)
建築技術 (2021/4/16)
建築家による環境建築に関わる思索。
これまでの発想をどう転換すればよいかのヒントとイメージが得られます。
『エクセルギーハウスをつくろう: エネルギーを使わない暮らし方』
黒岩 哲彦 (著)
コモンズ (2014/5/3)
エクエルギーの理論をもとに考えられた、エネルギーを使わずに暮らすためのさまざまな工夫と思想が描かれています。
『民家の自然エネルギー技術』
木村 建一, 荒谷 登,石原 修,浦野 良美,伊藤 直明,
小玉 祐一郎,渡辺 俊行,吉野 博,宿谷 昌則,田辺 新一,岩下 剛,谷本 潤 (著)
彰国社 (1999/3/1)
当時の文部省による研究成果をまとめたもので、伝統的建築物の環境的な工夫とそれを現代に適応するためのヒントを掴むことができます。
『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』
森田真生 (著)
集英社 (2021/9/24)
数学者によるエコロジカルな言葉を探す旅のエッセイ集。
事務所を移転しようと決断するきっかけになった本です。
『知の生態学的転回2 技術: 身体を取り囲む人工環境』
村田 純一 (編集)
東京大学出版会 (2013/7/31)
生態心理学(アフォーダンス理論)を現代的に発展させたシリーズのうちの一冊。人間が環境と関わる技術に関してまとまったエキサイティングな本です。
”遊び”という言葉はここから得たものです。
『アフォーダンスの心理学―生態心理学への道』
エドワード・S. リード (著)
新曜社 (2000/11)
ギブソンの提唱したアフォーダンス理論を人間の社会や文化へと拡張し基盤をつくった本。遊ぶことは人間の本性として意味と価値があることが分かります。
『最新建築環境工学 改訂4版』
田中 俊六 (著), 岩田 利枝 (著), 土屋 喬雄 (著), 秋元 孝之 (著), 寺尾 道仁 (著), 武田 仁 (著)
井上書院; 改訂4版 (2014/2/18)
建築環境工学の教科書として評判の高い本。工学的理論を学びなおすために購入しました。かなり勉強になります。
『昆虫の惑星 虫たちは今日も地球を回す』
アンヌ・スヴェルトルップ・ティーゲソン (著)
辰巳出版 (2022/3/30)
昆虫が自然や私たちの生活の近くでどのようにあるか、たくさんのエピソードによって描いたノンフィクション。
『都市で進化する生物たち: ❝ダーウィン❞が街にやってくる』
メノ スヒルトハウゼン (著), 岸 由二 (翻訳), 小宮 繁 (翻訳)
草思社 (2020/8/18)
都市環境にたくましく適応していく生物たち。都市部においても生物の営みがあることを感じさせてくれます。
『ビジュアル 世界一の昆虫 コンパクト版』
リチャード・ジョーンズ (著), 伊藤 研 (監修), ナショナル ジオグラフィック (編集), 木谷 美杉 (翻訳)
日経ナショナル ジオグラフィック (2020/4/9)
世界一の昆虫を集めた写真集。
『オーテマティック 大寺聡作品集』
大寺聡 (著, イラスト), 井原慶一郎 (監修)
フィルムアート社 (2018/2/22)
インセクトのキャラクターを描いていただいた大寺さんの作品集。
大寺さんの世界観そのものがインセクトの発足のきっかけになりました。
『生きられた家 ー経験と象徴』
多木浩二 (著)
青土社 (2012/10/10)
自分の住んでいる家にどうやってリアリティを宿らせるかのヒント。
若干建築専門向けですが、専門外の人にも楽しめるかもしれません。
『建築の心理学』
クリフォード・B.モーラー (著), 扇谷 弘一 (翻訳)
鹿島出版会 (1980/6/1)
私が学生の頃、卒業論文を書く際にテーマとした本。
人の人格形成にコミュニティが重要な役割を果たす。
『「脱社会化」と少年犯罪』
宮台 真司、藤井 誠二 他
創出版 (2001/07)
現代社会の問題とコミュニケーションのあり方が両者独特の語り口で描かれる。
『自然の哲学(じねんのてつがく)――おカネに支配された心を解放する里山の物語』
高野 雅夫 (著)
ヘウレーカ (2021/8/20)
物語は書き換えたり、渡り歩いても良い。
そんな風に思わせてくれます。
『技術とは何だろうか 三つの講演』
マルティン・ハイデガー (著), 森 一郎 (編集, 翻訳)
講談社 (2019/3/13)
ハイデガーの講演「建てること、住むこと、考えること」を含めた講演録。
『建築に内在する言葉』
坂本一成 (著), 長島明夫 (編集)
TOTO出版; 1版 (2011/1/20)
密度の濃い文章で、いろいろな点で影響をうけた。上記の「建てること、住むこと、考えること」について考えるきっかけとなった本。
『オートポイエーシスの世界―新しい世界の見方』
山下 和也 (著)
近代文芸社 (2004/12)
オートポイエーシスの概念を感覚的に掴むにはちょっとしたコツが必要だけれども、この本はその点で最適。
『知恵の樹』
管 啓次郎、H.マトゥラーナ 他
筑摩書房 (1997/12)
オートポイエーシスを提唱したマトゥラーナとパレーラによる書。
面白い人にはきっと面白いです。
『自然なきエコロジー 来たるべき環境哲学に向けて』
ティモシー・モートン (著), 篠原 雅武 (翻訳)
以文社 (2018/11/20)
エコロジーについて考えるには重要な著作。分かったことにしない距離感が大切なのだけど、この本自体がなかなか分かったことにさせてくれない。
『生物と無生物のあいだ』
福岡 伸一 (著)
講談社 (2007/5/18)
著者が大学の時に出会った「生命とはなにか」という問いに対する著者なりの返答。生命は流れとして動き続けなければならないという宿命を引き受け、そのことによって持続性を獲得した。
『地球再生型生活記 ー土を作り、いのちを巡らす、パーマカルチャーライフデザイン』
黒岩 哲彦 (著)
コモンズ (2014/5/3)
暮らしそのものを生物多様性を豊かにすることと結びつけるための、思想や暮らしぶりに気づくことができる。
『トイレの話をしよう』
ローズ ジョージ (著), 大沢 章子 (翻訳)
NHK出版 (2009/9/26)
タブーにされがちなトイレ、つまり排泄物の問題について自分は何も知らなかったことや、どれほど大きな問題なのか、ということが分かります。
『「大地の再生」実践マニュアル: 空気と水の浸透循環を回復する』
矢野 智徳 (著), 大内 正伸 (著), 大地の再生技術研究所 (編集)
農山漁村文化協会 (2023/1/18)
大地を舞台に繰り広げられていた水と空気の流れを取り戻すにはどうすればよいか。実践的な解説本。見える風景がガラリと変わります。
『よくわかる土中環境 イラスト&写真でやさしく解説』
高田宏臣 (著)
PARCO出版 (2022/8/1)
同じく、土の中の環境と自然との関わりを分かりやすく解説したもの。
現代の土木技術の限界も見えてきます。
『光・熱・気流 環境シミュレーションを活かした建築デザイン手法』
脇坂圭一 中川純 谷口景一朗 盧炫佑 小泉雅生 冨樫英介 重村珠穂 秋元孝之 川島範久 清野新(著)
建築技術; B5版 (2022/5/25)
シンポジウムの登壇者による講演内容と対談および作品を紹介したもの。環境について考えるさまざまな視点が得られます。
『開放系の建築環境デザイン: 自然を受け入れる設計手法』
末光弘和+末光陽子/SUEP. (著), 九州大学大学院末光研究室 (著)
学芸出版社 (2022/6/10)
著者による開放系モデルの建築を目指したさまざまな実例が満載。