第17話「都市型生態系住宅 URBAN_EcO」

説明よろしくっす。

次はCの URBAN_EcO についてですね。

urbanは都市のことを示し、ecoはecosystemつまり生態系を示しています。

今回は、24坪のいわゆる狭小敷地で何が可能かを考えてみました。

建物もコンパクトっすね。

21坪ほどの床面積に、5坪強の床下収納をプラスしています。

普通に考えるととても狭く感じますが、各フロアーが半階ずつズレながら連続していくスキップフロアーを採用することで、それぞれの居場所の間につながりを持たせて拡がりを感じるようにしているよ。

オノンさんは、よくスキップフロアー使うっすね。

そうですね。建物の規模が小さいと、どうしても圧迫感を感じる空間になりがちなので。

それに、スキップフロアーは建築基準法上、階と算定されない床下収納やロフトを作りやすいので、法的に2階建ての範囲で不足しがちなスペースを確保しやすいんだ。

あと、小さい敷地っすけど、緑が多いっすね。

敷地のうち、建物以外の部分はコンクリートで覆われてしまうことが多いけれども、それが積み重なることでヒートアイランド現象の原因にもなっている。

何より、都市部においては土のある場所にできる貴重なスペースだから、安易にコンクリートで塞いでしまうのはもったいないと思うんだよ。

草取りが面倒なので、っていう話はよく出るっすね。

そうなんだ。

確かに雑草を悪者と考えると面倒というのも分かるんだけど、僕個人的には、コンクリートで塞ぐより、雑草が茂ってそこに小さな生態系が見えることの方が素敵な気がするよ。

うちの家はこれと同じような敷地で、僅かなスペースに木を植え、芝生を貼ったんだ。そこに、どこから飛んできたのかタンポポが居着いてね。

毎年花を咲かせて、綿毛を飛ばしているよ。それを見るだけでも何かホッとしますね。

他にも緑が点在してるっすね。

例えば、駐車場の後ろに、落ち葉を落とす木を何本か植えるてみる。

コンポストも活用しながら、このスペースの土壌をどんどん肥沃なふかふかの土にしていくとしよう。

だから何?という事かもしれないけれども、コンクリートやアスファルト、カチカチの土しかない都市の中で、他にはないような豊かな土壌がここだけにはある(*1)。それだけで、密かな満足感を得られたりしないだろうか。

あとは、日が当たるところに太陽光を活用する装置や、野菜を育てるプランターを置く。

ちょっとしたものでいいと思うけど、この菜園もささやかな喜びを生み出すための装置となると思うんだ。

庭で育てた土壌を活用する意味にもなるしね。周辺の建物をデータ化することで、日の当たる場所をシミュレーションすることもできるよ。

何となく分かってきたっす!こういうのが増えてきたら都市の街並みも変わって来るかもっすね。

うーん、自分もいろいろアイデアが浮かんできそうな気がしてきたっすね。早く実現させたいっす。

そうですね。
どんどん実現していきましょう!

小松原にある、私の住居兼元事務所。20坪の敷地に20坪で建てたこのSOHOをモデルにしています。

都市の中ではいろいろなことを諦めてしまいがちですが、逆に都市の中だからこそできること、意義のあることを考えてみるのも面白いと思います。

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