第15話「循環特化型住宅 CIRCULaTOR」

お疲れ様っす。プロトタイプが3つ出来たんっすね。

はい。

当然、お施主さんの要望や土地の状況によって、計画は全然違うものになるのですが、何か参考になればと思い、簡単にですがつくってみました。

実際の計画じゃなくて、空想の案ということっすね。

3つの違いって何すか?

それぞれ、異なるタイプの敷地やお施主さんを想定しているよ。

共通しているのは、3つともコンパクトなサイズで考えているということだね。

大きくするのは簡単なので、最初はある程度小さなものから考えてみたんだ。

それじゃー、簡単に説明お願いしゃっす!

まずはAの CIRCULaTOR について。

紹介ページはこのリンク先だけど、まずは下の動画を見てみてください。

circulator というのは循環装置という意味で、住宅や人の暮らしを自然の循環の中に位置づけることを考えたものです。

循環の話はこれまでしてきたので省略しますが、人が暮らすことで、自然環境も良くなるような循環がつくれれば素晴らしいと思ってね。

めっちゃ自然の中じゃないっすか。

もともと人の暮らしは、自然の一定のエリアの中である程度完結していて、自然と循環の中に位置づけられていたんだ。

循環を考えると、周囲に豊かな自然があることがとても有利なことだと思うよ。

こういう場所での暮らしを選択できる人は限られるかもしれないけれども、できるとすればとても素晴らしいと思い、まずは最初に描いてみたんだよ。

それに、鹿児島はとても自然豊かなところだからね。やろうと思えば誰にだって出来なくはない。

あっ、何か水路があるっすね。

これは生活排水を浄化しながら利用する水路(*1)だね。

生活排水は下水に流せば処理の必要な厄介者だけど、含まれている栄養を循環の中に戻してあげれば、立派な資源になる。

そこで、水辺の生き物や野菜などを育てれば、循環の中にいることを強く実感することができると思うんだ。

生活に必須ではないかもしれないけれども、そういう意味では、ささやかな喜びを生み出すための装置(*2)と言えるね。

また、トイレ(*3)についても同じように考えることができる。

トイレっすか?

そう。

僕も実践はできていないので、ハードルが高いかもしれないけれども、僕たちの身体から出たものは、一番の厄介者かつ一番の資源だから、それを循環させられたら完璧だよね。

本当に活用しようと思えば、もっと広い畑があったほうがいいかもしれないですが。

実際にいろいろ循環させられたとしたら、気持ちがスッキリしそうっすね。

そのためにも、やっぱり広くて豊かな自然が必要なんすね。

そうですね。こういう暮らしによって分かる”自然のありがたさ”というのがあるように思います。

あとは、自主施工のようなことも、お施主さんの希望やスキル、生活スタイルに合わせてできるようにしたいと思ってる。

だって、こういう暮らしをしようと考える人は、スキルや意欲を持っている人が多いだろうからね。

それは、もう協力するっす。

まー、できることは人それぞれだし、塗装をしたり、タイルを貼ったり、土壌の整備をしたり、なんでもやれることから始めてみればいいと思うんだ。

それに、全部を最初に作ってしまわなくても、暮らしながら徐々にいろいろなものを揃えていく、っていう考え方もあるしね。

なんとなくイメージできたっす。

他にもいろいろ説明したいことがありますが、技術的なものはおいおい説明していこうと思ってます。

どういう技術がふさわしいか、は実践を進めるうちに変わるかも知れないし、人や環境によってまちまちなので、その時のお施主さんといろいろ研究しながら考えていきたいと思っているよ。

それじゃー、次の案、お願いしゃ―っす!

少し極端な例かもしれませんが、家と暮らしを自然の循環の中に位置づけることを考えてつくりました。

重要なのは、循環をささやかな楽しみや喜びに変える仕組みを、見える形で組み込んでおくこと、だと思います。

空が晴れて室内が暖かくなる。心地よい風が室内を通り過ぎる。自分の生活が実りに変わる。

こういうことが、何物にも代えがたい充実感をもたらしてくれないでしょうか。

ストーリートップ