第16話「環境型低層住宅 HUMbLE_HAT」

続きをお願いします。

次はBの HUNbLE_HAT についてですね。

hunbleは謙虚なという意味で、hatは帽子、つまり屋根のことです。(hut 小屋と言うには大きい気がしてhatにしたんだ)

散歩をしていたある時、すこぶる軒の低い(屋根の低い)小さな建物を見つけてね。その佇まいが、とても可愛らしく謙虚にみえて気になったことがあったんだ。

この案は、その謙虚さと、環境に配慮する姿勢とを組み合わせてみようと思って考えてみたよ。

土地が45坪くらい、鹿児島ではちょっと広めっすね。

床面積が24坪くらいは、一般的にはコンパクトな部類かもっす。

鹿児島は都市部の利便性の高い土地が高いので、少しだけ郊外に外れた比較的購入しやすい場所を想定しているよ。

反面、建物はコンパクトにして、屋外に生活の延長となるスペースを確保している。

屋外にスペースが拡がることで、室内からも拡がりを感じるので、室内の面積を無理に拡げるよりも、むしろ快適で拡がりの感じられる空間になると思うんだよ。

そこは設計で工夫のしがいがあるところっすね!

そうなんだ。

それに、建物をコンパクトにすれば、コストを抑えられるし、空調負荷も下げられる

屋根裏部屋みたいなロフトがあるっす。

そこは無理に2階建てにしないで、屋根形状を活かしたロフトにしてみたよ。

こうすることで、コストも抑えられる。

また、家族構成の変化でいくつもの部屋が必要な時期は限られているから、子どもが家にいるうちはここを子供のスペースにしておいて、子どもが巣立ってからは、収納や趣味の部屋にしてもいい。

簡易的に仕切りをつくってもいいね。

環境的にはどんな配慮があるんすか。

まず、確保した屋外空間はコンクリートで固めるのではなくて、なるべく土を残して緑を植える

そうすることで、熱容量を下げて、夏の不快な輻射熱を抑えられるし、植物や土壌の蒸散効果によって室内に涼風を呼び込むことができる。これは昔の民家の知恵(*1)だね。

花ブロックはもっと熱容量の小さいものに置き換えてもいいけど、例えば植栽と絡めて簡易な散水装置を組み込めば、これも気化熱を利用した涼風装置にできるんじゃないかと考えている。

あとは、太陽光発電パネル太陽光温水器(*2)、ソーラーウォール(*2)などによって、太陽の恵みをめいいっぱい利用する。(*2)

菜園もあるんすね。

たとえ小さな菜園でも、これがあることで、自分の生活が循環の中にあることが実感できると思うんだ。

CIRCULaTORの浄化水路と同じく、ささやかな喜びを生み出すための装置と言えるね。

樹木は実の食べられるものを植えるとさらに循環を感じられるかもですね。

割りと普通の家に見えたっすけど、いろいろ工夫が詰まってるんすね!

そうなんだ。特別でなくていい。

新しい、普通の生活のようなものが描けるといいなと思っているよ。

今回はこのくらいにして、次回はCのURBAN_EcOについて説明します。

オノケンの独立時に開催した住宅模型展で、28のうち投票数が61票/616票で第1位だった「低姿勢の家」をベースに手を入れたものです。

自然との関わりをそれほど意識していた案ではなかったですが、その謙虚な佇まいが多くの人に支持されたのかも知れません。

「低姿勢の家」を少しコンパクトにし、自然との関わりをより高めたのが今回の案になります。

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