【レポート】ひおき未来探検隊と田植え(前編)

6月22日(土)にひおき未来探検隊のフィールドワークに参加。6月23日(日)に事務所近くの田んぼで田植えをしました。
関連がありそうですので、まとめてレポートしますね。

ひおき未来探検隊のフィールドワーク

ひおき未来探検隊とは、日置市が第3次総合計画を策定するにあたり、日置市の未来を考えるための20の問いを出発点とした活動のことで、通称「まるひ」。(探検隊については、市長のnoteや、「ひおきと」のイベントページをご参照ください。)

この探検隊の20の問いの1つに、「空き家と農地」というのがあって、そこの隊長を務める37designの味園さんからお誘いいただいたので参加してきました。

あなた、日置市民じゃないけど良かったのかしら?

諸事情あって、住民票は鹿児島市にあるけど、起きてる時間はほとんど日置市の吹上にいるんだから、いいんじゃないかな。インセクトの本部は吹上だし。

探検隊のテーマ「空き家と農地」は、僕が今やってることにぴったり当てはまるテーマだし、日置市のさまざまな課題を考えるためには、鹿児島市も含めたより広いエリアで考えることが大切だと思うしね。

それに、日置市の未来は、僕が一目惚れした事務所周辺の風景の未来でもあるんだから、おおいに関係があるよ。

そうね。
私は予定があって行けなかったんだけど、どんなことをしたの?

今回は「宝探し篇」と言う位置づけで、フィールドワークを通じて未来へつながる可能性の種を探すような感じかな。

具体的には農地の事例として「草見(そうみ)の棚田」、空き家活用の事例として「ギャラリー玩古」の2つを見て回ったよ。

草見の棚田

草見の棚田は、独特な積み方の石垣が特徴の棚田で、保存会の方のお話をお聞きしながら散策したよ。

独特な積み方って?

通常、大小の石を組み合わせしながら積んでいくんだけど、ここの石積職人さんは大きな石だけで積んでいくことにこだわりがあったそうなんだよ。

その他、草見の歴史的な背景の話などあって、面白かったんだけど、残念ながら全部は覚えてない・・・。

そういうことを紹介するサイトがあるといいんだけど、見つけられなかったなー。

ここの田んぼは、空きがなく使われてるのかしら?維持も大変なんじゃない?

だいたい9割くらいは、田んぼとして使われてる感じだったね。

ここの棚田の風景も、基本的には僅かな世帯数の住民だけで維持されてるみたいなんだ。ある程度、外部との連携のようなものがあるから維持ができてると思ってたので、少しおどろいたよ。

平均年齢が70歳くらいということだったので、今後この風景がどうなっていくのかは、やっぱり気がかりだね。

ギャラリー玩古

次はギャラリー玩古。
もともとはサラリーマンだったオーナーさんが、郷土玩具の好きが高じて、古い民家を購入して、工房とギャラリーにした事例だね。

つい最近、同じように沖縄で郷土玩具の工房をつくって、昔のものづくりを伝承しようとしている人の本を読んだばかりだったから、同じような人がいるんだなー、と思ったよ。

ほとんどの玩具を寄贈されたあとだったので、そこは少し残念だったけど、こういう人の存在は貴重だよね。

ワークショップ

最後に、役所に戻って、いくつかのグループに分かれてワークショップ。(本当は、その前に小松帯刀の墓所に寄ったみたいなんだけど、僕は道を間違えて、先に役場に戻っちゃった・・・)

あまり時間がなかったけれども、フィールドワークを通じて感じたことを共有し合ったよ。

あなたはどんなことを話したの?

実は、第22話は、この日のワークショップを意識しながら書いたので、「田守倶楽部」のことなんかを話したよ。(田守倶楽部は検索するといくつかヒットするので、オリジナルってことにはならないね。そりゃそうか。)

実際棚田を歩いたり、ワークショップで他の人と話をしながら気づいたんだけど、こういう問題は視点を変える、ということが、すごく重要かもしれない。

どういうこと?

農業・ビジネスとして田んぼを考えると、今の技術は、収穫量を最大化して、少しでも収益性を高めるために発展してきたものだ。

でも、吹上の事務所のまわりの人たちを見ても、完全にビジネスとしてやっている人はほとんどいない。

平日はどこかで働いていて、週末に親から受け継いだ田んぼや、その風景を維持するために片手間でやっている人がほとんどなんだよね。

そうみたいね。
稲作だけで生計を立てるのは難しいみたいだものね。

そう。

地元愛や風景を残したいからやっている、という理由と、ビジネスとしての技術。そこに食い違いが生まれている気がだんだんしてきたよ。

週末だけで、田んぼを維持しようとしたら、トラクターなんかの大型機械を取り入れることは、省力化に貢献しているし、だからこそ、維持できている、という面は確かにある。

だけれども、それは、その人・個人と、機械に依存している面が大きいので、その人が辞めてしまえば、誰かに引き継がれることなしに、そこで終わってしまう。

それは、ビジネスとしての目的と風景維持の目的が混在していることも原因の一つだと思うんだ。

例えば、今回の棚田で考えてみよう。

ビジネスとして考えると、小規模な区画に分割されて、高低差のある棚田は、大型機械の利用には効率が悪いし、維持に手間がかかり、どちらかというと面倒な場所という評価になるかもしれない。

だけれども、風景維持を目的として考えると、棚田自体の風景に価値があり、人を引きつける可能性を持っている。それに、小規模な区割りは、ちょっとしたグループで維持しようと思えばちょうど良いサイズ感で、その気になれば大型機械がなくても維持は難しくない

つまり、視点を変えることさえできれば、マイナスな面がひっくり返ってプラスになる、ということがたくさんあると思うんだ。

ただ、その可能性は、田んぼをビジネスの対象として見てしまう、というこれまでの常識に覆い隠されて、見えにくくなっているだけじゃないかな。

また、ビジネスの視点を一旦離れれば、風景維持だけでなく、民家と農地は今の生活の根本を見直すきっかけになりうる、という可能性があることも見えてくる。

なるほどねー。
そこにいると、他の見方ができなくなるってことはよくあるわね。

タイミングのいいことに、棚田のフィールドワークをしたちょうど翌日に、吹上の田んぼの田植えだったよね。

そこで、この問題に関係する重要な視点に気づいてしまったんだ!

それは実際にやってみないと分からなかったことなんだよね。

(後編に続く)

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