第2話「環境問題って何?」前編

こんちゃー!
どんなことやるのか、説明してくれる、ってことでみんなできました~!

セムー

よろしくおねがいします。

よろしくおねがいします。

それじゃー、まずは「環境問題とは何か」というところから始めよう。

実は、僕もこれまで、「環境」という言葉を聞いてもピンと来てなくて、どこか遠いところの問題に感じていたんだ。

ぼんやりとしていて、何をやるべきなのか、確信を持って言える言葉を持っていなかった。

そうっすね。
このままじゃヤバい、みたいなことはよく聞くけど、実際どうすればいいか、なんとなくしか分かんないっすよね。

建築分野で環境問題といえば、近いうちに省エネ性能を満たすことが義務化されるわ。
国も脱炭素化へ向けて動こうとしてる。

そう。環境について、国をあげて、いや、人類をあげて考えないといけない時期にきているのは間違いない。

だけど、思い返すと僕たちが子どものころにはもう、省エネということはたくさん言われていたよね。

省エネとか人口問題とかよく言われてた記憶があるっす。
あれからだいぶ経つんで、少しは良くなってるんすかね?

それが、まったくそうじゃないんだ。

▲世界のエネルギー消費量と人口の推移(平成24年度エネルギーに関する年次報告)

僕たちが子どもだった、1970年代からも、エネルギー消費量と人口は2倍程度に大きく増え続けている。

何で?って思うけれども、それは、現代社会が、成長を止めることが許されない「資本主義」というシステムと、近代的な「分断と転嫁の思想」によって動いているからなんだ。

そして、今、地球環境は後戻りができなくなるティッピング・ポイント(*1)を超えるかどうかの瀬戸際にある、と言われている。

何かむずかしくなりそうっすね。
「資本主義」が悪者ってことっすか?

「資本主義」は今の豊かさを支えてくれていて、いちがいに悪者ともいい切れないけれども、根本的な問題なのは間違いない。

簡単に言うと、今の資本主義システムはおよそ20年ごとに2倍に成長しないと維持できないと言われている。システム自体を維持するために成長を続けるしかない、止まれない機関車のようなものだね。(*2)

でも、環境問題に関しては、資本主義の競争原理で技術が発達すれば、やがて新しい技術が解決してくれるんじゃないかしら。

環境問題の解決に新しい技術が必要なのはもちろん、そう。

だけど、倍々ゲームの成長の速度に合わせて技術が進歩し続けることは不可能で、やがて限界を迎えることは明らかになっている。(*3) そして、この問題の裏には近代的な「分断と転嫁の思想」が隠れているんだ。

「分断と転嫁の思想」?

僕は、環境問題は、資源やエネルギー、資本主義システムの問題といった「現実的問題」と、近代的な思想に無理が生じているという「哲学的問題」の2つがあると思っていて、「分断と転嫁の思想」とはこの「哲学的問題」にあてはまるんだ。次はそれについて説明するよ。

セムー・・・・
(この話は建物と関係あるのかな。オラ、はやく建物つくりたいダ・・・)

ここで書いたように、「環境」という言葉をどう考えていいか分からない、というのがことの始まりでした。

何か、環境、環境と言うばかりで、根本的なところが置き去りにされているのでは、という違和感や予感があったのです。

人間の思考や認識は思っているよりも曖昧で、その時代の文化的背景や哲学的に染み付いた常識に大きく左右されてしまうものです。

なので、まず、今の自分たちの思考はどのような背景のもとつくられているのか。また、その背景と環境とはどう関係しているのか、を押さえる必要があると考えました。

というわけで、はじめから小難しい話になってしまいますが、少しの間お付き合いいただけると幸いです。

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